「日経ビジネス 2月26日号 No.1930」に掲載されていた、リーダーたちがAI時代の教育論を語る「集中連載 AI時代の教育論 Vol.4 田中優子 法政大学総長」において、田中優子氏は「競争を押し付ける時代ではない」、「競争がなくても、自分にはできるという「自己肯定力」で育てられる」と説かれています。
田中優子氏については、これまであまり必ずしも良い印象を持っていたわけではありませんが、「自己肯定力」や「判断する力」についてはまったく同感です。
気のせいか、最近、判断しない人、判断を避ける人が多すぎませんかね
他人と同じが一番安心だし、安全地帯が大好きみたいな(毒)。
それが、今の日本の閉塞感そのもののようにも感じます。
以下、記事のポイントの要旨です。
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例えば、食べるものから着るもの、学校の選択まで親が全部決めて押し付けることを繰り返していると、子供は自分で決められなくなります。それが一番の問題です。
社会の先行きがあまりにも不透明ですから、今求められているのは、誰かの命令に従うことではなくて自分で考えることです。
社会全体の問題として小さい頃から自分で考え、決める力を育てなければなりません。
「自己肯定力」が必要だという話によくなります。それはむやみに自分を肯定するということではありません。自分には決められる、決めたことを自分で達成できるという自信のことです。
海外は徹底した競争社会で、自己表現が不可欠といわれますが、必ずしもそうでもない側面もあります。
米国の職場はどうしても自己表現が必要です。だけれども相手の立場に立ってモノを考えて、相手を思いやりながらつなげていくことはもっと重要なことなのです。
競争に勝ち抜くために自己表現をしているだけでは、国際社会で通用しないのではないでしょうか。
各人が持っている能力に偏りがあるのは当然で、それを寄せ集めて何ができるのかというコーディネート力が何よりも重要です。
現代社会でも競争を勝ち抜くトップだけでなく、そうしたコーディネーターのようなトップが求められていくような気がします。もはや子供に競争だけを押し付ける時代ではないのです。
コーディネーターとしての役割を発揮するには、ダイバーシティへの理解が不可欠です。子供は一人ひとりが違う特徴を持っています。大人になれば、さらに多様化した社会にさらされます。これからは外国で働いたり、外国人と一緒に日本で働いたりする可能性が高くなるでしょう。
自分自身も多様性の中の一つの個性であることを、子供のうちに知っておかなければなりません。
多様性のある社会では、その場で素早く判断する力が求められます。今自分がいる場所で、自分は社会に何を貢献できるかを瞬時に判断する知性が必要になります。
どんな状況でも、自分に自信を持って、失敗を恐れず判断する力を育てることが必要なのです。