今週の「日経ビジネス」の編集長インタビューで柳沢幸雄・開成中学校高等学校校長が登場しています。
柳沢校長は、開成高校卒⇒東大工学部卒⇒民間企業就職⇒東大大学院博士号取得⇒国内で就職できず⇒ハーバード大教員⇒ハーバード大のベスト教員に選出⇒開成中高校長、という面白い経歴の持ち主です。
ベスト教員になれたの要因について、「英語がたどたどしいので、論理構成を極めて明確になるよう授業を一生懸命組み立てたんです。留学生でも分かるように。」と話されていました。
校名の由来は「開物成務」。生徒一人ひとりの異なる素質を開花させ、社会の中で人の「務め」を果たしてもらうという意味。
「務め」とは、単純に言えば、収入を得て税金を払うこと。そのために身につける必要のある資質は自主性と自律性。
「これをやりたい」、「こういうことで生きていきたい」と言えるようになったら、そこで集団教育は終わり。あとは、卒業生を中心にその道の専門家がたくさんいますから、彼らに近づけてやればいい。中等教育以降で重要なのは自分で師を選ぶこと。
今の日本に必要な人材は、自己を肯定し自信を持っている人材。自主的、自律的に企画、実行し、結果を自らの責任で考えるという教育を受けるか、あるいは経験すれば、諸外国の若者のような高い自己肯定感と自信を持つ若者が育つと思う。
そのためには、日本の国力の衰えをあからさまに伝えることが必要。今の日本はGDPで中国に抜かれ、将来に対する不安が非常に大きい。30年後に対する若い人の期待値が昔と違う。日本が斜陽で、今よりも悪くなるのだったら、海外に打って出る必要があるという意識が広がっていると思う。
こういう状況はグローバリゼーションの一環。漢字で表現すれば「広域化」。領域が広くなるという意味で歴史を振り返ると、1950年代から70年代の疲弊した農村からの集団就職と、海外留学をして、言葉も食事も生活習慣も違うという状況と同じ状況。
(日本をかつての農村の例えているわけかぁ)
変化が顕著なのは保護者の考え方。自分の息子は自分と同じような生活水準に到達させてやりたい。そのために必要なのは海外経験だと考え、なるべく早いうちに海外に出したいと感じている親が結構いる。海外大学に直接進学する生徒は増えている。
(私もそんな保護者の一人ですが、「親の心子知らず」です。)