みんながみんな、グローバルに活躍しなくてもいいのですが、ドメスティックに生きようとすれば、経済的な面での高望みはできないと覚悟しておいた方がよいかと思います。
経済的な面での豊かさだけが人生の豊かさではありませんが、将来、娘に子供ができたときに、娘が私たち両親から受けてきた教育と少なくとも同等以上の教育をしてあげてほしいと思います。親の老後の心配は不要ですが、自分の子供の教育のために、それなりの経済力が必要となることは考えておいてもらいたいものです。
これまで日本の大企業の本社に就職すればチャレンジできていたであろう仕事に、チャレンジできる環境じゃなくなってきているという状況の変化を、親世代は理解しておく必要があろうと思います。
つまり、グローバルな経済の中では日本の大企業であっても、競争力のない中小企業になりつつあるトレンドだということです。
また、最近は外資系企業に就職する人も珍しくありません。
そこでキャリアを積むこと、留学資金をためることを否定はしません。
例えば、グルーグルの日本法人に就職しても、所詮はローカル採用です。
日本人でもグーグル本社採用とローカル採用では、まったくと言っていいほど権限も報酬も異なります。
これまで日本企業が海外で現地採用してきたのと同じと理解しておく必要があります。
(グーグル日本法人採用でも、給料は日本企業と比べるとかなり高いですが。)
ましてや、東大に入って、日本の大企業に就職したり、官僚になれば安泰なんてことは、もう「都市伝説」レベルの話です。
医者になれば安泰も、同じくです。
官僚や医者が食べていけなくなることはないでしょうが。
もう、向かうべき「内」が狭くなっているのに、身を預けられる「大樹」もなくなってきているのに、「内向き志向」や「寄らば大樹の陰志向」になっても仕方がありません。
最近は、大手商社に就職しても「海外に行きたくない」という社員もいるそうで、「戦う前に負けている」感すら漂っているようで脱力してしまいます。
医学部人気も、医師という職業の安定がけっして保証されているわけでもなく、また、けっして楽な仕事でもないのですが、よくわからない、先の見通せないグローバル競争よりも安定的で先が見通せるような気がするといった、内向きな志向が根底にあるような気がしてなりません。
一方で、最近では、東大よりも海外大学への進学を選ぶ人もでてきています。
個人的には大学の専門教育の基礎の部分は母国語である日本語で勉強し、大学院で海外に留学した方がよいような気がしてならないのですが、このようなトレンドを理解していれば、けっして驚く話ではありません。
いずれにしても、受験産業的世界観と現実世界は、相当な乖離があると思いますので注意が必要です。
そうは言っても、学歴フィルターは現状においてそれなりに機能していると思いますので、完全になくなるとは思いませんが、旧帝大や早慶であれば学歴フィルターで排除させることはないので、そのレベルで大学の名前だけに固執するのは無意味だと思います。さっさと受験界を卒業して自分のレベル向上に注力した方が賢いですね。
(つづく)