筑波大学では農学部に相当する生物資源学類で、数学の先生ではなく、農学の先生が独自の数学教材を作って数学の授業を行っているそうです。
そして、農業高校出身の生徒や高校時代に文系だった生徒もちゃんと数学ができるようになるというネット記事を見ました。
高校数学が大学やその後の社会でどのように役に立つのかという視点で教えてもらえたら、高校数学に対する興味と取り組みが変わってくるだろうなと思います。
ま、数学に限らないかもしれませんが。
例えば、娘の学校ではシラバスがあり、中高で学習することの相互の関係が多少なりとも意識できるようになっています。大学でもシラバスが用意されているところはあるようですが、中高のシラバスとつながった大学のシラバスがあるといいのになぁと思いました。
なお、先のネット記事によると、
・農学は肥料や植物ホルモンや酵素や遺伝子などを扱うので化学が大切
・1年次の化学では、いきなり「エンタルピー」とか「エントロピー」「自由エネルギー」という概念が出てきて、そこでは高校数Ⅲレベルの微分積分はもちろん、「全積分」や「偏微分」という新しい数学を使う
・1年次の秋には原子や分子の挙動を検討するために「シュレディンガー方程式」という名前の「偏微分方程式」が出てくる
・農学は物理も使う。農業機械の構造や動作は物理。生化学で使う「NMR」(核磁気スピン共鳴)や「赤外分光法」などの計測技術も物理。
・物理では、1年次の春で「運動方程式」を扱うのに「微分方程式」が出てくるし、夏前には「慣性モーメント」という概念で「重積分」という数学が必要。
・秋には「拡散現象」や「電磁気学」を学ぶために「ベクトル解析」という数学が必要。
・他にも、例えば、様々な波長の光を食品に当てて成分や品質を調べるときのデータは2次元や3次元どころか「数百次元」のベクトルであり、その解析に「対称行列」「固有値」「固有ベクトル」「分散共分散行列」「主成分分析」という数学が必要。
・農業経済学では数学を使った経済理論が必要。
・作物学や畜産学では実験計画法や分散分析というそこそこ高度な統計学が必要。
・農学にはAIや機械学習がどんどん入ってきているので、そのための数学も必要。