大学入学者選抜の公正確保等に向けた方策について、去る5月31日、文部科学省の有識者会議が最終報告をとりまとめ、公表しています。
この報告書の位置づけですが、「大学入学者選抜に関する事務を所掌する文部科学省 や、実際に入学者選抜を実施する各大学が必要な対応をとり、公正な大学入学者選抜が実施されることを期待する。 」とされており、半ば強制力を伴うものになるかどうかは文部科学省の今後の対応次第というところです。
報告書の柱は、透明性の確保だと理解できます。
・繰り上げ合格候補者の順番や連絡時期の見通しなどをあらかじめ知らせ、特定の者の優遇や順番飛ばしを認めない。
・合理的な理由がない限り、年齢や性別、浪人・現役の別で差を求めない。
・合否判定に不要な保護者の職業や出身校などの情報を求めない。
・卒業生の子女らを優遇する特別枠は容認するものの、その必要性や募集人数、選抜方法の妥当性などについて丁寧な説明を行った上、厳格な運用を求める。
といったことが掲げられています。
近年、大学定員の厳格化により、4月に入ってから追加合格を出す大学もあるようです。また、繰り上げ合格候補者にも入っていない、不合格者が繰り上げ合格になるケースもあるようです。
大学が繰り上げ合格候補者をかなり多く出す傾向になるのではないかと思います。
私立学校には卒業生の子女や在校生の兄弟など、学校に理解のある生徒を入学してもらいたいという気持ちがあると思います。どのように運用していくのが良いのか、非常に悩ましいところではないでしょうか。
透明性という観点では、学科試験では測れない能力をAO入試や推薦入試で測っていこうという方向感との整合性も問われていくのではないでしょうか。